バイファル
小さい頃から「人を見た目で判断するな」と親によく言われたものの、言うは易く行うは難し。
セネガルでよく見かける
「ドレッドヘアー」
「ジャラジャラしたごついアクセサリー」
「継ぎはぎのカラフルな服」
「お椀で金をせびり」
そして、
「道端で発狂したように叫ぶ」。
そんな人を初めて見かけたら、「コイツは怪しい」と警戒するのが普通の反応である。私もそうだった。
でも、彼らの「信念」を知って、僕は好きなった。
セネガルでは彼らを「バイ・ファル」と呼ぶ。
◆ イブライマ・ファル
イブライマ・ファルは最初にして、最も著名なアマドゥ・バンバの弟子の一人。
ファルは商人の子として生まれたが、バンバと出会って感化され商売を辞め、バンバの教えに基づいた生活を送るを決意した。
彼は他のイスラム教徒とは違い、一切のムスリムとしての行いを捨て、バンバとムーリッド教団のために働いた。
彼はイスラームの教えを守らないことで地獄に落ちることがわかっていても、時間を惜しんで、バンバのために働いたという。祈らないファルをバンバが糾すと、「地獄に落ちることは怖くない。あなた(バンバ)のことが心配なのです」と彼は言ったという。
イブライマ・ファルが作ったコミュニティ。
「バイ」はウォロフ語(セネガルの主要な言語)で「父」を意味し、「ファル」は彼らの崇める「イブライマ・ファル」の名前から借用したものである。ちなみに女性はウォロフ語の母を表す「ヤイ」から、「ヤイ・ファル」と呼ばれる。
彼らの多くはイブライマ・ファルと同様、イスラム教徒としての行いであるお祈りや断食をしない。その代わり、マラブ(宗教導師)に仕えて働き、托鉢をして資金をマラブに提供したり、「シカル」という合唱をしたりする。
ちなみに彼らの真似をして、信心を持たずにただお金をせびってきたり、ファッションとして取り入れたりしているだけの者を「バイ・フォ」という。(「フォ」(faux)はフランス語で「偽」を表す)
◆ バイ・ファル
【参考文献】
池邉 智基、『セネガルのイスラーム教団ムリッドにおける「バイファル」 —バイファルの宗教生活に対する人類学的調査—』
http://www.iasu.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/01/811d863c8781354506aca5f909b3bf00.pdf
上野 庸平、『僕が見たアフリカの国―セネガル見聞録』、西神田、花伝社、2011/2
小川 了(編著)『セネガルとカーボベルデを知るための60章』、東京、カ明石書店、2010/03/30、P224-230
Ibrahima Fall - Wikipedia, the free encyclopedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Ibrahima_Fall
・出典:
Les Baye Fall Ndigueul à la rue Sainte Catherine - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uTyS51u37AY
「Sante Yalla Warnanou - Sokhana Adama Mbaye ¨Ndiguel¨ - By Marcia Juzga」
https://www.youtube.com/watch?v=iHlTQFJ69qk&list=PLTXrVElJLwehaiTWc78_d_L-o48ZjaT7S
筆:原田 拓朗
監修:池邉智基
◆ バイ・ファルのファッション