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​宗教集団と導師

11世紀、日本が平安時代の頃、セネガルにもモーリタニア経由でイスラム教が伝播してきた。現在ではセネガル人の90%以上がイスラム教を信仰しており、彼らの大半が教団に属している。

それぞれの教団にはマラブーという宗教指導者が存在し、彼らは一つの宗教集団というまとまりをなしている。セネガルで生活をしていると、「お前はイスラム教徒か?」という質問と同じくらい「お前のセリーヌ(マラブー)は誰だ?」と聞かれる。

セネガル人にとって、教団とマラブーはアイデンティティの大きな部分を占める。マラブーの写真は生活のあらゆる場面で見かけることができ、例えば職人たちは工房に、タクシー運転手はフロントガラスに写真をとにかく張りまくっている。

​◆ ムーリッド教団

・1883年にバンバ(Ahmadou Bamba)が創設した教団で、セネガル人の40%がこの教団に属している。

現在はその末裔である「Serigne Sidi Al Moukhtar Mbacke」(写真左)が宗教指導者(グラン・マラブ)になっている。教団の本拠地であるセネガル中部・トゥーバには、セネガル最大のモスクやバンバの図書館が建てられている。

​◆ ライエンヌ教団

​◆ カディリヤ教団

・1782年にアーメッド・チジャニ(Ahmed Tijani)によって、アルジェリアで創設された教団。セネガルには大きく4つ分派があり、エル・ハジ・マリック・シが創始した一派が一番の勢力を持っており、現在のグラン・マラブは「Serigne Mouhamdou Mansour SY Borom Daara Ji」である。

セネガル西部にあるティバワンヌはティジャン教団の中心的な場所として知られており、ガモという宗教イベントではセネガル各地からたくさんの人が集まってくる。

​挨拶の時に手を何度も握り返すのもティジャン教団の特徴の一つ。

【参考文献】

上野 庸平、『僕が見たアフリカの国―セネガル見聞録』、西神田、花伝社、2011/2

​小川 了(編著)『セネガルとカーボベルデを知るための60章』、東京、カ明石書店、2010/03/30

【参考リンク】

Research Journal: On the history of Senegalese Sufi brotherhoods | POLS 441/541: African Politics

http://www.brandonkendhammer.com/africanpolitics_spring2012/research-journal-on-the-history-of-senegalese-sufi-brotherhoods/

Serigne Mouhamdou Mansour SY Borom Daara Ji

マンスー・シ

​セネガルにおけるティジャンの最大一派のグラン・マラブ

Amadou Bamba

ムーリッド教団の創始者

​◆ ティジャン教団

Seydina Limamou Laye

​ライエンヌ教団の創始者・セイディナ・リマム・ライ

・セイディナ・リマム・ライによって創設された一派で、マディという預言者モハメッドの生まれ変わりが宗教指導者であるという考えに基づいている。

セネガルにおいて3番目に大きな宗派で、ダカールのヨフ(Cambérèrene,Yoff)を拠点としている。現在のグラン・マラブは「Cherif Abdoulaye Thiaw,Laye」。

創始者のセイディナ・リマム・ライが息子をキリストの生まれ変わりと言ったことからわかるように、キリスト教徒も強い繋がりを持ち、クリスマスにも宗教行事が催される。

・バグダッド出身のアブドゥル・カディール・ギラニによって創設された一派。

筆:原田 拓朗

Abdul-Qadir Gilani

カディリヤ教団の創始者、アブドゥル・カディール・ギラニ

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